
DBCS UPGRADE機能を機能を利用してOracle Databaseをアップグレードしてみた
いつか試そうと思っていた「DBCSのアップグレード機能」を利用して、DBCS(VM)で作成したデータベースバージョン11.2の環境を19cにアップグレードしてみた。
検証内容
検証環境
DBCS(VM) GIバージョン19.10、DBバージョン 11.2.04
今回はシングル環境とRAC環境を用意して、それぞれで試してみました。
事前準備
マニュアルにある前提条件の確認
- The DB system must use Oracle Linux 7 (OL7)
- If your DB System uses ASM storage management software, the system must use Oracle Grid Infrastructure 19c
- バックアップ取得の推奨
- The database must be in archivelog mode
- The database must have flashback enabled
フラッシュバックデータベースは有効化してなかったので、有効化。
SQL> alter database flashback on; Database altered. SQL> SELECT FLASHBACK_ON FROM V$DATABASE; FLASHBACK_ON ------------------ YES
アップグレード手順
アップグレードの手順は、データベース管理画面 > Resouces > Updates から、アップグレードしたいパッチレベルを選んで「Precheck」あるいは「Upgrade」を押すだけなので、とても簡単。
プリチェックでは領域不足やパラメータの確認などをしてくれるようなので、必ずやるのがお奨め。
アップグレードの方では、自動的にDBUAツールによるアップグレード処理が行われる。
手順はとてもシンプルではあるが、本番環境をいきなりアップグレードするのはリスクが高い気もするので、個人的にはバックアップあるいはクローニング機能を用いて環境を複製した上で、その環境をアップグレードするのをお奨めしたい。
※今回の検証環境も事前にバックアップを利用して複製した環境にてアップグレード検証を実施。
事後処理
後は、マニュアルに記載されている以下の項目を実施することも忘れずに。
- Oracle recommends that you remove the old Oracle Database Home using the dbcli ultility. See Dbhome Commands in the dbcli reference for more information.
- Check that automatic backups are enabled for the database if you disabled them prior to upgrading. See To configure automatic backups for a database for more information.
- Edit the Oracle Database
COMPATIBLE
parameter to reflect the new Oracle Database software version. See What Is Oracle Database Compatibility? for more information. - On virtual machine DB Systems, ensure that the
.bashrc
file in the home directory of the Oracle User has been updated to point to the 19c Database Home.
処理時間
今回試したのは検証用にプロビジョニングしただけの環境なので参考程度ですが、プリチェックは10分強、アップグレード処理は1時間20分くらいでした。
遭遇したエラー編
実は検証の際に、プリチェック処理で何度かエラーに遭遇。
原因は環境によって様々だと思うので、あえて詳細は記載しないが、エラー時の参考になりそうなDocをいくつか紹介。
OCI Database Upgrade Failed on prechecks operation – Information to collect (Doc ID 2748449.1)
DCS-10326:Failed to perform database upgrade prechecks for DB – PreCheck executePreReqs in OCI DBSystem (Doc ID 2734535.1)
TIPS
- アップグレード前にはプリチェックとバックアップ取得が推奨されている(実行してないと画面で注意喚起。とても親切)
- アップグレードに失敗した場合、ロールバックするための機能も用意されている(今回はアップグレードで失敗しなかったため未検証)
- 前述の通り、アップグレードにより新しいORACLE_HOMEが作成されるので、ORACLE_HOMEに依存する処理を作りこみしてた場合は要対処
- DBCSでR12c以降の環境を作成すると通常はマルチテナントアーキテクチャ構成で作成されるが、
R11.2から本機能を利用してアップグレードすると、Non-CDB構成で作られる。 - 現状、本機能でアップグレード先として選択できるのは19cのみ(21は選択できない)
デモ動画
公式チャンネルにデモ付の解説動画があったので紹介。
まとめ
DBCSのアップグレード機能は想像以上に便利でした。
Oracle Cloud上にOracle Databaseを一度移行してしまえば、今後のバージョンアップはより簡単になりそう。
参考情報
・[OCI]WebコンソールからDBCSのデータベース(18c)をOracle19cにアップグレードしてみた。
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